「富山まで行くには、上越新幹線を長岡で乗り換えて…。あれ?この時刻表は
まだ使えないのか」
彼は秋田新幹線「こまち」が表紙のまだ真新しい時刻表を涙で眺めた。
「ええっと、ダイヤ改正の前に使える時刻表は、どこにおいてあったっけ?」
彼の部屋では「彼女」の影響からか、未読のミステリィが最近山になってきていた。
「お正月の帰省のとき使ったのだから、きっとあの本の山の下に違いない」
彼は四つんばいになると、本の山の下から古い時刻表をひっぱりだそうとした。
「どごんっ」という鈍い音とともに、彼の後頭部に激痛が走った。
彼の命を奪ったのは本の山の上に何げなく載せてあった中古カメラだった。