festival
♪♪♪♪♪♪



 龍宮亀之介の目の前に死体があった。
 数名の鑑識課員が忙しく動きまわり、証拠を収集している。
 刺殺されたらしいその死体は、サッカーボールを大事そうに抱えていた。
 亀之介は確信した。
 この殺人は、犯罪ワールドカップに関係がある。

 一体、これからどんな恐ろしい事件が起こるというのか?
 犯人とされる「ビリオン・キラー」の目的とは?
 事件は始まったばかりである。亀之介は、全知全霊をあげて推理することを心の中で誓った。

 亀之介は、近くにいた刑事の一人をつかまえて聞いた。
「被害者の身元はわかったのですか?」
「はい。えーと、まず、名前はトーマス・ビリオン。年齢は……」
 最後まで聞かず、亀之介は笑い出した。
「わははははっ、そういうことか。ビリオン・キラー。なるほどねえ。龍宮が出てくるまでもなかったな。単純な事件だ。殺人は、この一件で終わりだろう」

 しかしもちろん、亀之介は間違っていた。




★Next Page★