買いたい書院

GAKU

「赤津くん、この『買いたい書院』というのは何かね」
「それはですね、本部長。これは先日の企画会議で決まった、この夏のボーナス戦線のキャッチコピーでして」
「しかしねえ、なんで今ごろ書院なの。うちだってノート業界に参入してるんだから。だいたい代理店もさあ、もっと気のきいたコピーはなかったのかね」
「いや、今回は社員から公募して決定したみたいですが」
「代理店に頼む金もないのか。しかし、どこの誰がこんなこと考えるんだ」
「名前はわかりませんが、横浜らしいですよ」
「あのお荷物か…。業績最悪の所から何が生まれるんだ。そんなものはいいから、新機種の開発を急いでくれ」

1ヶ月後……

「まったく、なんで書院があんなに売れるんだ…」
「本部長。この本読みましたか?」
「ん、ああ『解体諸因』か。専務に言われてな。お前はなんで企画どおりやらないのかって怒られたよ。しかしな、最初っから人気作家のタイトルから取ったと言ってくれれば俺だってな…」
「ところで、いま、横浜支社がなんて呼ばれてるか知ってます?」
「ああ、『支社は蘇る』だろ。全部読まされたからな、知ってるよ」
「ええ、うまいこと考える奴はいるもんですね。今度の一件で横浜は全社員臨時ボーナスらしいですよ」
「うらやましい限りだよ。俺もさあ、願いがかなうんならなあ…」
「何を願うんですか?」
「瞬間異動したい」



 この作品はフィクションであり、登場する書院やら人気作家らは実在するものとは一切の関係がありません。作品に関してのお叱りは十分にお受け致しますが、「人間がかけていない」というお叱りはお受け致しかねますのでご注意ください。(笑)


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