浅野川少年の事件簿
♪♪♪
翌日の朝。
浅野川が教室の窓から校庭を眺めていると、美波が走り込んでくる。手にはスポーツ新聞。
美波「浅野川、浅野川! 昨日の心中事件だけどな、なかなか面白そうだぞ!」
浅野川、呆れて美波を見る。
美波「いいか、この新聞によるとだな、あれは確かに心中だ。目撃者もいる。何しろ、手をつないで死んでたんだからな。でも、あの二人はまったく面識がなかったんだ! どうだ、謎だろう?」
浅野川「まだ調査が不完全だ、ってことだろう」
美波「いや、けっこう詳細に調査されてるみたいだぜ。で、この二人には、それぞれ自殺の動機があったんだ。男の方は仕事の失敗が続きノイローゼ状態、女の方はクレジットカードの使い過ぎで自己破産寸前!」
浅野川「いいかげんにしろよ。授業が始まるぞ」
そして、学校からの帰り道。美波は夕刊紙を買って読む。
美波「おい、新たな目撃者登場だ! なんと、あの女は、屋上から一人で飛び降りたんだと! これはすごいぞ、一人で飛び降りて、落ちたときには二人になってたんだからな!」
浅野川「……なるほど、そういうことか」
美波「え? 何かわかったのか?」
浅野川「まあな。……うちに来るか?」
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