第2回   怪獣に破壊される街 1996.9.16


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 「あれから20ヶ月」ということで、今日のネタはこれです。

 少し前の話だが、『ガメラ2』を見た。今回の敵はレギオンという名の宇宙怪獣であり、この怪獣に襲来されたのは札幌と仙台だった。仙台などは、街の中心部で草体が爆発し、壊滅的な打撃を被っている。

 ‥‥で、本題はこの『ガメラ2』ではなく、この映画を見ながら考えたことである。
 ゴジラ、ガメラを始め、ガッパ、ギララなど、昔から多くの怪獣が日本各地の都市を破壊し続けている。日本全国の主要都市はほとんど破壊し尽くされたように思えるが、記憶を辿ってみても、襲われたことのない都市がいくつか存在する。‥‥それが、広島と長崎である。(すべての怪獣映画を見ているわけではないので、もしかしたらあるのかも知れない。御存知の方はお知らせ願いたい)
 なぜ、広島と長崎が怪獣に襲われないのか。既に一度、原爆という『怪獣』に襲われているからだろうか。確かに、「放射能怪獣」ゴジラが広島や長崎を襲ってはシャレにならない。
 しかし、戦争で破壊された都市は広島と長崎だけではないのだ。東京や大阪を筆頭に、日本の主要都市はほとんど空襲の被害を受けている。東京大空襲の被害者数は、広島や長崎の原爆による被害者数に匹敵するだろう。にもかかわらず怪獣は、東京や大阪は容赦なく、何度も破壊し続ける。(東京を襲っても皇居だけは避けて通る、という問題はあるが、それはまた別の話である)
 やはり、通常の爆撃に対して原爆は特別なのだろうか。だからこそ、東京や大阪にはかつての大破壊の影は残っていないのに対し、広島には原爆ドーム、長崎には平和記念像というモニュメントが残っているのだろうか。
 ‥‥原爆は、戦後五十年を経ても、いやこれからも、日本人の心にトラウマを残しているようだ。広島や長崎が怪獣に破壊される日は、今後も訪れないだろう。

 そして神戸、である。
 阪神大震災以前の神戸はもちろん、怪獣に襲われた経験がある(実際に記憶しているのは、ウルトラセブンのキングジョーくらいだが)。
 しかし、現実に神戸は、地震という『怪獣』に襲われてしまった。少なくとも今後数年間は、「怪獣が神戸を破壊する」などという映画は作られない。作れるわけがない。
 ‥‥その後はどうだろう。10年後、20年後の神戸は、どんな街になっているのだろう。東京や大阪のように、再び「怪獣に襲われる」レベルにまで復興するだろうか。それとも、広島や長崎と同じく、二度と怪獣に襲われることのない街になってしまうのだろうか。
 私が昔から親しんできた街、神戸。この街が映画の中で怪獣に破壊され、それを純粋に「フィクション」として楽しめる日‥‥。そんな日が来ることを私は祈る。

 1995年1月16日夕方。私は、約12時間後に倒壊することになる阪神高速神戸線を東へ走っていた。ビルの合間から臨む満月は、異様に大きく、そして血のように赤く見えた。


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