捕食せしテントウムシの血を吸いて
ウツボカズラの緑萌え立つ
くろがねのスケーリーフット集う浜
寄せ来る波も錆の香りか
イトカワもこの手の届く距離にあり
虚空を翔ける毅き隼
すれ違いまさゆきロッカー来たれども
まだ逢いもせずゆりっぺの地図
君がため沼地に出でてメタル狩る
我が衣手に星降る腕輪
カラコルムキリマンジャロもついに越え
はるばる来ぬるタクラマカンかな
いにしえの聖徳太子の地球儀に
ムー大陸の幻を見る
ぬばたまの闇より来たるクトゥルーの
下足も食いたし二次会酒場
踏切に佇む影の七つ八つ
地に縛られて事故を待つ群れ
甘噛みて君の耳こそ恋しけれ
鼓膜も蝸牛管も愛しき
白塔が紅葉見下ろす地震研
鎌足眠る阿武山の丘
六甲にスカイフィッシュも舞い降りて
狭霧にむせぶ神の磐座
釘を打つ貴船神社の夜は更けて
ふりさけ見れば踊る狐火
流星雨船岡山に降らば降れ
恋を失くせし宵闇京都
ヴァルカンの夏の暑さも我慢でき
なかったはずの星と思えば
あしびきの山揮の右の眼にも似て
冥王星の月は欠けたり
弥勒来て滅びし地平に昇りゆく
馬頭星雲赤色巨星