第3回   屋根が開く 1996.9.17


 まずはお礼の続きから。
 上田完さん、山本K&Mさん、メールありがとうございました。
 新屋さん、『妖星伝』(半村良・講談社文庫)とも関係あります。ただ、表記としては『補陀洛』より『補陀落』の方が一般的なようなのでこちらを使いました。
 ああ、シンガポールは今日もいい天気だったなあ。(←さらに混乱させるようなことは書くな)

 マクラはこのくらいにして、今日のネタはこれ。

 私は現在、オートザム・レビュー(1500K1キャンバストップ)という車に乗っている。購入して四年半。
 これはマイナーな車だ。どれくらいマイナーかというと、『レイアース』にも名前が出てこないくらい‥‥誰もわからんか、こんなたとえは。
 それはそうとして、会社で「レビューに乗っている」と言うと、返ってくる答えは大体次の二つである。
 「レビュー? どんな車?」
 「あ、小泉今日子のCMにつられて買ったな」
 ‥‥まあ確かに、小泉今日子の影響があったことは否定しない(←しろよ)。しかし、理由はそれだけではないのだ。

 余談だが、私の家には、『資生堂スーパーマイルド』の、小泉今日子の等身大立て看板が置いてある。これは、決して化粧品店の店頭からパクってきたものではなく、正当な手段で手に入れたものである。念のため。

 閑話休題。
 第一の理由は、「稀少価値」である。街を歩いていて、自分と同じ服を着た人とすれ違うのがイヤなのと同じく、道路で自分の乗っている車と同じ車とすれ違うのはイヤなものだ。
 レビューは、はっきり言って売れていない車である。したがって、同じレビューとすれ違う可能性は極端に少ない。「今週は一度も(自分のやつ以外の)レビューは見なかった」ということはザラにある。だから安心して乗っていられる。かえって、レビューを見ると「おおっ、同志!」と親近感がわくくらいだ。
 (一応、マツダの名誉のために補足しておく。レビューはもともと輸出が主体で、日本より海外の方が売れているらしい。現に、オーストラリアに行った知人の話によると、「そこら中レビューが走っていてびっくりした」とのことである)
 第二の理由は、「一見デザイン優先のアソビ車に見えるが、実は非常に実用的」という落差が気に入ったから。
 第三の理由が小泉今日子。
 そして第四の理由が、「キャンバストップなので屋根が開く」という点である。
 冬と夏は閉めているが、春と秋はほとんど全開状態で走っている。これがまた爽快である。見上げると、そこには抜けるような青空が‥‥(←前見て運転しろ)。

 それ以外にも、このキャンバストップにはメリットがある。どんなメリットかというと、海に落ちたときに脱出しやすい(はずである。まだ落ちたことはないが)。
 また、残念ながらデメリットもある。サファリパークに入れてもらえないのだ。
 この前、姫路セントラルパークに行ったとき、入り口で
「お客様の車はキャンバストップなのでサファリパークには入れません。バスをご利用ください」
と言われてしまった。キャンバスだったら動物たちに引き裂かれる、という理由だろう。しかし、野生の動物ならともかく、あんなところでのうのうと暮らしている虎やライオンに、キャンバスを引き裂くだけの覇気があるとは思えないが。こんな堕落した動物は見たくないぞ!(←だったら行くな)。

 ‥‥とオチがついたところで(ついてないって)今日はここまで。


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