第26回   『エイリアン』を見た日 1996.10.12


 昨日はちょっと秘密の事情により、更新サボっておりました。ふふふ。
 というわけで(どういうわけで?)今日は恥ずかしい思い出話などをしてみます。だから読まないように(だったら書くな)。

 はじめて女の子と二人で見に行った映画は、『エイリアン』だった。高校生の頃の話である(う、年がバレる)。
 少なくとも、初デートで見に行くような映画ではないと思うが、まあ仕方がない。
 で、その後、茶店(「サテン」ではなく「ちゃみせ」と読むのが通)で今見た映画について色々と話をしたわけだが、映画の本筋についてではなく、エイリアンのデザインをしたH・R・ギーガーの『ネクロノミコン』についてだの、アッシュがリプリーの口に押し込もうとしていた雑誌は『平凡パンチ』だったの、廃墟のシーンで宇宙服を着ているのは実は子供で、セットを少しでも大きく見せようという努力だの、という話だったのだ(すでにこのあたりから、ウンチク者の片鱗が顔を覗かせている)。
 相手も、楽しんでくれたはずだ。少なくとも私は、そう思っていた。
 で、調子に乗った私は、その後も『博士の異常な愛情』『時計仕掛けのオレンジ』『惑星ソラリス』(これはさすがに退屈だったが、未来都市の道路が実は東京の首都高だったりして、ウンチクのネタにはなった)といったカルトな映画や、国立民俗学博物館、大阪市立科学館などといったカルトな場所へ連れていっては、ウンチクを語り、ウンチクを語っていないときはギャグを語っていた。ウンチクとギャグの比率は、ほぼ半々だったと思う。
 ギャグというのは、たとえばこんなヤツだ。

 私「‥‥東海道中ヒザゲルゲ」
 相手(吹き出す)「もう、人がジュース飲んでるときに、しょーもないこと言わんとってや!」(再びジュースを飲みはじめる)
 私「そっちこそ、人がしょーもないこと言うてるときにジュースなんか飲むな!」
 相手(再び吹き出す)

 ‥‥しかしこれ、今でも使えるかも知れんな。って、ここに書いてしまったらダメか。
 話がそれたが、私は、結構うまくいってると思っていたのだ。でも、私はふられてしまった。
 「もっと、愛を語って欲しい。ウンチクとギャグだけでは楽しくない」
 え?そうか?俺は十分楽しいけどな。では、『愛』についてのウンチクを。愛には、エロスとアガペーの二種類があって‥‥。あ、ちょっと、どこ行くんや?聞いてくれ!

 これはやはり、私が悪かったのか? それとも単なる人選ミスなのか? 大体、世間一般のカップルは、そんなに「愛を語って」いるのだろうか? ‥‥いるんだろうな、多分。

 ‥‥大学の時の話はマレニやフナイにツッコまれるとまずいので書かないが、結局、私は、それ以来ほとんど成長していない。相変わらず、「愛を語る」ことはできないままである。いや、無理すれば語れないこともないのだが、すぐボロが出てしまうのだ。だって、「愛を語る」より「ウンチクやギャグを語る」方が面白いから。
 だから、結局、あれはあれでよかったのかも知れない。いや、あんまりよくはないが、その気持ちはわかるかも。

 さて、今日の『ぽたぽた』は、意味不明でしたか? そうです、それでいいの。ブライアン・イーノ(←だから、そういうことを書くから〜)。


第25回へ / 第26回 / 第27回へ

 目次へ戻る