今日はネッシーの話である。
ネッシーとはもちろん、スコットランドのネス湖にすむと言われている、謎の怪獣のことだ。
ネス湖に怪獣がすむという噂は千四百年ほど前からあったそうだが、一般に知られるようになったのは、1933年にネス湖のほとりに自動車用の道路が開通してからである。多くの目撃者があらわれ、いくつかの写真はそれらしき姿をとらえているが、まだ決定的な証拠はない。決定的な証拠を得るには、ネッシーを手なづけるしかないだろう。すなわち、怪獣を懐柔するのだ。
ネッシーの写真でもっとも有名なのは、数年前に撮影者が「すいません、わたくし、ウソをついておりました」と告白して話題になった、通称「外科医の写真」である。しかし、あの写真は、公表当時から研究者の間では偽物くさいと言われていたもので、いまさら撮影者の告白があったところでネッシーの存在を否定する証拠にはならない。わ〜た〜し〜は、やってない〜。これは「否定する彰晃」である。すまん、昨日の余韻がまだ残っていた。
話はそれるが、日本の湖にも怪獣がすんでいるらしい。屈斜路湖のクッシー、池田湖のイッシー、芦ノ湖のアッシーなどが有名であるが、最近はほとんど噂にもならないようだ。
話題になるためには、やはり、もう一度出現してもらう必要がある。
では、どうすれば出現するか。クッシーについては、とりあえず神様に頼んでみるのがいいだろう。クッシーときの神頼みである。
イッシーは、あと三年ほど待てばよい。イッシーの上にも三年である。
アッシーについては、待つまでもなく、メスが電話をかければオスが車に乗ってやって来るという話だ。しかし、車を運転できるのなら人間なのかもしれない。人間は考えるアッシーである、ということか。考えるアッシーは人間になれるが、考えないアッシーはアッシーのまま。なんだか教訓的なことを書いているようだが、まあ、そんなことは別にどうでもいい。アッシにはかかわり合いのないことだ。
話を元に戻す。
ネス湖の水は透明度が低いため、調査は困難なようである。ネス湖は不凍湖で、深くて水量も多く、ウナギやカワマスなどの餌も豊富で、ネッシーがすむ条件を満たしている。しかし、この条件ばかりを執拗に主張して「だからネッシーはいる」などと言ってはいけない。条件を主張するのは秋分の日だけにしてほしい。つまり、執拗条件と秋分条件だ。
さらに、英国の権威ある科学雑誌『ネイチャー』が写真を掲載したり、「ひし形のひれを持つ」という意味のネッシラテス・ロンボプリテクスという学名が用意されていたりして、英国人はけっこう楽しんでいるようである。さすが、日本とは違って遊び心がある。英国はええ国だ。
ところが日本人は、すでにネッシーのことなど忘れ去っているようだ。「ネッシー? どうせそんなもの、サメか何かの見間違いだろう」という意見が多い。
やはり日本人は、ネッシやすくサメやすいのである。