人を呪わば穴二つ、とも言うが、それでも、どうしても呪いたくなる時があるものだ。
今日は、そんなあなたのために、手軽にできる呪いの方法を紹介しよう。「犬神の作り方」である。
呪いなんて本当に効くのか、と思うかもしれないが、効くときは効くのである。たとえ呪いを信じていなくとも、自分が呪われていると知れば気分が悪いだろう。だから、呪いを信じている相手に対しては、これはもう、てきめんに効く。呪いのせいで体調を崩したりするのだ。プラシーボ効果と似たようなものだろう。
さて、これから作ろうとしている「犬神」とは、どんなものか。それは、人に取り憑く犬の邪霊である。四国全域や九州西部などで信じられている伝説だ。‥‥いや、伝説というのは不正確かもしれない。信じるものにとっては、犬神は実在するのだから。
犬神に取り憑かれた者は茫然自失の状態になるが、突然泣きわめいたりトランス状態になったりして異常行動をくり返すと言う。まったくおそろしい邪霊である。
それではいよいよ、犬神の作り方を紹介しよう。いや、その前に、これを言っておかねばなるまい。
よい子のみんなはマネしちゃダメだよ。
‥‥悪い子ならマネしてもよい、というわけではないが。
犬神を作るには、当然のことながら犬が必要である。まず、犬を用意してほしい。
用意したら、その犬を、首だけが地上に出るようにして土に埋める。なんだか残酷な話だが、これからもっと残酷になるのだ。
身動きできない犬の前に、餌を置く。しかし、決して食べさせてはいけない。そのまま飢えさせるのだ。そして、餓死寸前になったころ、刀を持ってきて、背後から犬の首を一気に切断する。このとき、自分の姿を犬に見られてはいけない。もし見られたら、犬神は自分に取り憑いてしまうので注意してほしい。
切り落とした首を、人通りの多いところに埋める。最近の道路には埋めるところなどなさそうだが、そこはなんとか舗装されていない道を見つけてほしい。犬の首が人々にさんざん踏みつけられたら掘り出して、呪物として祀
ればできあがりである。
あとは、その犬の首に対して、「あいつに取り憑いてくれ」と呪いをかけるだけである。実に簡単だ。
‥‥と、ここまで書いたところで、今日はダジャレが入っていないのに気が付いた。
今日は比較的まともなネタだったので(どこが)、ダジャレを入れる必然性はないのだが、やはり、オチがないと気分が悪い。とりあえず、書いておこう。
犬神を作るための犬は、どんな犬でもよい、というわけではない。三毛犬を使ってはいけないのだ。そんなのいるか、と思うかもしれないが、三毛猫がいるのだから三毛犬だっているのである。
三毛犬で作った犬神は、なまけものでやる気がなくて、役に立たない。なぜかというと、犬が三毛の無気力、だからである。