第283回   テストでボケよう  1999.10.25





 学校のテストは、ボケるのにもってこいの場所だ。そこには、まるで大喜利のように、ボケるための問題が豊富に用意されている。まさにボケのワンダーランド、ダジャレ師の楽園、ジョーカーたちの桃源郷である。
 しかし、どの科目のテストでも同じようにボケられるわけではない。そこにはおのずと、ボケやすい科目とボケにくい科目が存在する。
 たとえば理科。これは、どちらかといえばボケにくい科目だろう。


問い:次の言葉を説明しなさい。
(1) 黒点 [ テストで合格点を取ること。対義語は赤点。 ]
(2) 石英 [ イギリス産の石。硬度が高く美しい模様がある。 ]


 せいぜいこの程度である。また、社会もなかなかボケにくい。


問い:次の言葉を説明しなさい。
(1) 石仏 [ フランス産の石。硬度が高く美しい模様がある。 ]
(2) 金印 [ インド産の金。(以下略) ]


 このように、どうしてもボケが同工異曲になってしまう。
 しかし、理科や社会はまだいい。これが算数になると、さらにボケにくくなってくるのだ。


問い:
 Yちゃんは誕生日のプレゼントに友達からみかんを紙袋にいっぱいもらいました。Yちゃんが「いくつ入っているの?」と聞くと、その友達は「2で割っても3で割っても4で割っても、1だけ余る数」と答えました。さて、袋の中にみかんはいくつあるでしょう?

答え:[ そんなややこしいことを言うのは友達じゃない。 ]


 かなり苦しくなってくる。しかし、文章題ならまだいい。無理矢理にでもボケることはできる。これが計算問題になると、もはやボケようがないのだ。算数でボケるのには、想像を絶する苦労がともなう。
 他にもボケにくい科目はある。図工ではボケたつもりが素晴らしい芸術だなどと言われて天才に祭り上げられてしまう危険があるし、体育の実技テストでのボケなど命にかかわることもある。そう考えていくと、一番ボケやすい科目というのは、やはり国語だろう。
 だから国語のテストはボケの宝庫である。ちょっと探してみただけでも、これくらいはすぐに見つかる。


問い:次の漢字の読み方を書きなさい。
(1) 相殺 [ あいさつ ]
(2) 断食 [ だんしょく ]
(3) 寄席 [ きせき ]
(4) 厳寒 [ イプサム ]
(5) 来国 [ きたぐに ]
(6) 私腹 [ はらわた ]
(7) 茶番劇 [ チャンバラ ]
(8) 東京都 [ ひがしきょうと ]
(9) 殺気 [ コロッケ ]
(10) 庶 [ バカボンのパパ ]
(11) 曽 [ 仮面ライダー ]
(12) % [ 首をかしげるウルトラマン ]


 ううむしかし、最後の方のは先生も共犯のような気もする。だいたい、「%」など漢字ではないではないか。まあ、それはよしとしよう。先生だってたまには遊びたくなるものだ。
 漢字の問題だけではない。短文作成の問題にも、ボケはたくさん転がっている。


問い:次の言葉を使って短文を作りなさい。
(1) いかにも [ いかにもたこにも足がある。 ]
(2) うってかわって [ 彼は麻薬をうってかわってしまった。 ]
(3) あたかも [ 戸棚の中におやつがあたかもしれない。 ]
(4) ありきたり [ 早春や 台所にも ありきたり ]
(5) 末広がり [ 早稲田へ行って広末狩りをしよう。 ]


 最後のものなど、問題まで変えてしまっているではないか。ここまでくると反則すれすれだが、まあ面白いのでよしとしよう。

 このように、学校のテストはボケのユートピアだ。子供たちは、ただひたすら笑いを取ることだけを目的に、今日もテストでボケ続けているのである。
 だから先生も、面白かったボケには是非マルをつけてもらいたい。私が子供のころなど、自信満々で書いたのに全部ボツに、いやバツにされて……ああいや、まあ昔のことはよしとしよう。ぐすん。




第282回へ / 第283回 / 第284回へ

 目次へ戻る