第320回   いまさらオリンピック  2000.10.1





 オリンピックネタを書こう書こうと前から思っていたのだが、つい『ドラゴンクエストVII』に熱中して延び延びになっていた。やっと今日書き上げることができたが、もう今日が閉会式だからぎりぎり間に合ったぞ。いや、閉会式はもう終わってしまったから間に合っていないのか。まあ、それは別にどちらでもいいのだが。

 そのオリンピックであるが、競技は全部で何種類あるのだろうか。ネットで検索してみてもよくわからなかったが、とにかく沢山あるらしい。その中でもサッカーや野球、柔道、シンクロナイズドスイミングやマラソンなどの人気競技は中継もされるしニュースでも取り上げられるので私でも結果は知っているのだが、中には名前さえ聞いたことのないような競技もある。テレビ中継もなし、観客もいない、ひょっとしたら運営側でもそんな競技があることを把握していないかもしれない。不人気種目の選手が競技予定の日に会場に行ってみたら人っ子一人いなくてそこにはただ風が吹いているだけ、などという事態もよく発生しているのだろうか。とにかくマスコミに取り上げられないので実態は把握できないのだ。
 まあそんなわけで「競技一覧」などをながめていると、そうかこんな種目もあったのか、とあらためて気付くこともある。たとえばカヌーだ。これがオリンピックの種目に入っていたとは思わなかった。ニュースを見ていても、出てくることはないからなあ。しかし、確か日本からもゴージャスで有名なカヌー姉妹が出場していたと思ったのだが、どうなったのだろうか。巨乳が邪魔でオールが漕げなくて失格したのかもしれない。
 フェンシング、などという競技もあった。ううむ、これは一体どんな競技だろう。フェンスと言えば塀や囲いのことだが、それの現在進行形とはどんな競技なのか、ちょっと見当も付かない。まさか塀に関するジョークを言い合う競技でもなかろうし。「隣の空き地に塀ができたってねえ」「かっこいー!」って、このジョークは翻訳するのがむずかしいだろう。それにそもそもスポーツではないし。するともしや、走っていって塀にぶつかり、そのリアクションの美しさを競う、という競技だろうか。それならば日本からは島田珠代に出場させよう。金メダルは間違いなしだ。
 水球。こんな競技もあるが、これもよくわからない。卓球や野球のようなものだろうか。「水」と言うのがちょっと理解に苦しむが。まさか、盆踊りの夜店で売っている水の入ったゴムのボール、あれで競技をするわけでもあるまいし。ううむ、と悩みながらドラクエをやっていたら、はっと気がついた。これはひょっとして、古代ギリシャの四大元素説に基づいているのではないか。この世界の物質はすべて、火・水・土・空気の四元素から成立している、という説だ。オリンピックの起源も古代ギリシャだし、そうに違いない。四元素のひとつ、水に基づいた競技なのである。もちろん、他の三元素に基づいたものもある。火球と気球と地球だ。
 しかし、そのような由緒正しい競技だというのに、今ひとつ水球に人気がないのはどういうわけだろう。ひょっとして愛が足りないのか。地球ばかり救わずに、たまには水球も救ってあげなさい。

 それはそれとして、これだけ競技がある中でどれが一番強いのだろう。やはり格闘技系だろうか。そのような気もするが、こればかりはやってみなければわからない。というわけで、さっそくくじ引きでトーナメント表を作って試合をさせてみることにしよう。
 まず第一試合。ホッケー対ヨット。ううむ、いきなり困ったぞ。陸上対海上で、どうやって戦えばいいというのだ。ホッケー対ヨット、釣り上げられてホッケーの負け。って、いや、とんち相撲をしているわけではなくて。まあいい、ここはとりあえずヨットの勝ち、ということにしておこう。
 次は第二試合。馬術対バドミントン。これはどう考えても馬術の方が強いな。馬に蹴飛ばされたら、バドミントンの選手などひとたまりもあるまい。……いや、よく考えたら強いのは馬であって騎手ではないぞ。こういう、人間以外の動物の力を借りる競技がオリンピックの中にあってもいいのか? 優勝したら、馬にも金メダルをあげなさい。
 第三試合。体操対新体操。なんだか早口言葉のようだが、この勝負はなかなか微妙である。どれくらい微妙かというと、大阪対新大阪くらい微妙である。神戸対新神戸くらい微妙である。幹線対新幹線くらい微妙である。世界対新世界くらい微妙である。ううむ、最後のはあまり微妙ではないか。まあとにかく、なんとなく体操の方が強そうなので体操の勝ちにしておこう。
 そして第四試合。柔道対射撃。ああっ、これはどう考えても射撃の方が強い。と言うか、射撃というのは全競技の中で最強ではないだろうか。他の種目では、やはり飛び道具にはかなわないだろう。これ以上トーナメントをおこなっても結果は見えている。
 というわけで、一番強い競技は射撃ということに決定した。だから、射撃で金メダルを取った者が世界一強い者、ということになるのである。ええと、ところで金メダルを取ったのは誰だったっけ? ニュースを見ていても出てこないからなあ。




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